ぎっくり腰の治療

ぎっくり腰は、日常の何気ない動作で発症し、寝返りや立ち上がれないくらい痛く生活に支障が出てしまいます。

ぎっくり腰は、医学的には、急性腰痛や腰椎捻挫といわれますが、重いものを一気に持ち上げようとした時だけでなく、ちょっと手を伸ばしただけでも発症し、一生のうちに何度も、人によっては1年に数回再発してしまうことがあります。

また、ぎっくり腰の中には慢性的な腰痛やヘルニア、過去の分離症、すべり症、脊柱管狭窄症など他の疾患をもともと持っていて、その症状に上乗せしてぎっくり腰をおこし、回復するのに時間がかかってしまうことも少なくありません。

何度もこの痛みを経験されている方は、症状があらわれたときの治療だけでなく、普段から予防として治療や生活習慣の改善が必要です。

ぎっくり腰の原因

  1. 仙腸関節の損傷
    仙腸関節とは、骨盤にあります。腰というよりお尻の上あたり、尾てい骨の上の方で、お尻の内側の付け根、背骨の下といったほうがわかりやすいでしょうか。この部分をひねったために、痛みがでるといわれています。また、仙腸関節を損傷してしまうと、骨盤の上にある背筋まで緊張してしまい、痛みが出たり、太ももの後ろや、ふくらはぎにも連動して痛みやしびれが伴ってしまうこともあります。
  2. 腰椎の損傷
    腰椎の損傷の場合は、骨盤の上にある背骨の腰椎部分、つまり腰の中心部に痛みがでるといわれています。こちらの損傷だと、背骨沿いの脊柱起立筋だけでなく、インナーマッスルと呼ばれる深い部分にある回旋筋など背筋が緊張してしまい痛みが出現したり、下肢に、神経根が圧迫されて根性痛というものを起こす痛みと、上記で述べた関連痛を起こす痛みの二通りがあるといわれています。
  3. 筋や筋膜の損傷
    背筋や筋膜は傷害された場合、その部分の痛みを感じることになりますが、腰椎や仙腸関節に問題がないと、筋肉や筋膜を損傷していることはあまりないといわれています。ただ、人間は教科書通りに病気が現れることはあまりないので、筋肉だけの痛みとしてあらわれることもあります。

また、筋肉や筋膜の損傷によるぎっくり腰には、よくあるパターンとして3つの筋が関係しています。

それは以下の3タイプ

大腰筋タイプ

大腰筋は、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉の一つです。内臓と脊椎の間にあり、深部腹筋群とも呼ばれる見えない筋肉の一つで、主に股関節を屈曲させる働きをしています。

脊柱を前屈させる筋でもあるため「深腹筋」と呼ばれることもあり運動に非常に重要な働きをしています。

大腰筋を損傷すると、前かがみになり腰を伸ばしにくそうにします。

腰方形筋タイプ

腰方形筋は、一番下の肋骨から骨盤の上縁を結ぶ、平たく幅広い筋肉です。

この筋肉の主な働きは、背骨を横に曲げることです。
この筋肉を損傷すると、、左右どちらかに体が傾き、姿勢がくの字になってしまいます。

体を横に曲げたり、捻ったり、寝返りの際にも痛みが走ります。

多裂筋・回旋筋タイプ

多裂筋・回旋筋は、直接触れることのできる脊柱起立筋よりも深い部分にあり背骨を直接支えています。

この筋肉が損傷すると、前かがみや体を反らす際に痛みを生じ、腰が固まってしまい、動かせなくなります。

ぎっくり腰の治療

ぎっくり腰は、1~2週間安静にしていれば痛みは引きます。

しかし、急性期を過ぎると、今度は血行障害が起こり、筋肉も硬く冷たくなってしまうため、動かすと痛い、もとのようには動かなくなり、更に大きなぎっくり腰を引き起こしてしまうことがあります。

そのため、まずはぎっくり腰を起こして早めに炎症を散らす鍼灸治療、その後は状態に合わせて適切な鍼灸治療が必要となります。

ぎっくり腰のツボ

腰腿点

腰腿点は、手の甲の人さし指と中指、薬指と小指のそれぞれの背の交わるところにあります。昔からぎっくり腰の特効穴として知られているツボで、押してみて一番反応があるところを治療のツボとして使用することもあります。

中封

中封は、足首、内くるぶしの前にあるツボで、「きやり腰は、肝経の中封にて取れる」、「疼痛激烈で体位変換が困難なものが、中封の圧痛検索とその施術で改善された」とあります。

腰腿点、陽陵泉、中封は共に四肢(手足)にあるツボのため、東洋医学的なツボであると同時に、科学的にも有効性を証明できるツボです。それは、自律神経は体感と比べ四肢のほうが刺激に対する反応が早く、筋肉の過緊張を起こしているときに交感神経の亢進を和らげる効果があります。